神戸大学大学院農学研究科
応用動物学講座
動物形態機能学教室

研究内容について

生命科学における研究の進展は、マクロ(形態)からミクロ(分子)へ、そしてミクロからマクロへと回帰しながら着実に進行し、より高い研究レベルでの複雑な系の解明に迫っています.形態機能学は高等脊椎動物の構造と機能を理解する上での「基本的バイブル」であり、動物における生命科学を遂行する上で無くてはならない極めて重要な分野です.私たちの教室では先人たちの積み重ねた形態学の膨大な知見と昨今急速に明らかになりつつある分子生物学的な知見とを同時に扱い、生命の成り立ちと仕組みを明らかにすることを目的に、顕微鏡レベルから分子レベルまでの動物の体の構造と機能との関連について教育と研究を行っています。現在継続中の研究は以下の通りです。

環境中に放出・蓄積された残留化学物質による生態系や動物の健康への被害は遺伝子発現にも作用し、その影響は世代を越え、種の保存を脅かす地球規模での重大かつ深刻な問題となっていますが、その分子基盤に関する基礎・応用研究は少なく、これらの危機に面して解決の可能性を追求する分子毒性遺伝学的研究を行っています。(動物分子形態学分野)研究助成金:
2019~
★基盤研究B(代表:星 信彦)
殺虫剤の「生物学的モニタリングに基づく適応的リスク評価法」の開発と実践
★基盤研究A(研究分担者:星 信彦)
mlAOPコンセプトによる化学物質感受性多様性評価と殺虫剤中毒解明に向けた応用
★日本環境財団研究助成金(代表:星 信彦)
農薬と生き物との関係から未来を考える(「生物学的モニタリングに基づく適応的リスク評価法」の開発と実践)

雄と雌の差は何か。精巣と卵巣とは何が違うのか。生殖腺や脳に性差を与えるものは何か。その答えを得るべく、最近の分子遺伝学的解析データを踏まえ、性の決定と分化機構について各種遺伝子群の相互調節機構と形態形成との関連の解明を推進しています。(動物分子形態学分野)
研究助成金:
★基盤研究C(代表:星 信彦):2017- 2019年
哺乳類性腺の性差構築と性特異的エピゲノム制御・維持機構の分子基盤の解明
★基盤研究C(代表:星 信彦):2014 – 2017年
生殖腺の性差構築とその破綻機構における細胞・組織特異的エピゲノム制御
★基盤研究C(代表:横山 俊史):2017 – 2020年
哺乳類の未分化生殖腺の雄性化を制御するY染色体のエピジェネティック修飾の解明
★基盤研究C(代表:横山 俊史):2014 – 2017年
生殖腺の性特異的分化に関わる細胞特異的エピジェネティック修飾の時空間的変化
★若手研究(B)(代表:横山 俊史):2011 – 2014年
哺乳類の性分化機構とその進化に関わる細胞特異的エピジェネティック修飾の解明

鳥類や哺乳類の消化管における非特異的生体防御機構、特に腸上皮細胞の細胞周期やアポトーシスと特異的生体防御機構との連関、さらにはアポトーシスと細胞の生理機能の発現に関する研究を推し進めています。(組織生理学分野)

図1左:小腸パイエル板濾胞被蓋上皮のアポトーシス発現部位に定着する常在細菌の光学顕微鏡像
図1右:骨髄内で脱核中の赤芽球の電子顕微鏡像

図2左:SRY陰性だった性分化異常症例における同一性腺に認められた卵巣と精巣組織の混在像
図2右:FISH (fluorescence in situ hybridization) 法を用いた性分化異常と染色体の解析像

もう少し専門的に知りたい方へ

形態機能学教室では、先人たちの積み重ねた形態学の膨大な知見と昨今急速に明らかになりつつある分子生物学的な知見とを同時に扱い、生命の成り立ちと仕組みを明らかにすることを目的に、『マクロ(形態)からミクロ(分子)へ、そしてミクロからマクロへ』を基本姿勢として、顕微鏡レベルから分子レベルまでの動物の体の構造と機能との関連について教育と研究を行っています。